ベトナム④ – ハジャンのバイクツーリングツアー

ハジャンの風景 旅の記録

ベトナム北部、中国との国境地帯に位置する山岳地域ハジャン。日本語読みではハザンとも呼ばれるその地は、壮大な山々の風景を眺めながらバイクでツーリングする「ハジャンループ」と呼ばれるツアーで人気を博している。
俺はハノイから共に旅をしてきたフランス人のE、そしてサパで出会ったドイツ人のMと共に、このツアーに参加することにした。

ファンジーパンでの登山を終え、サパから夜行バスに揺られて早朝にハジャンへ到着。
ホステルにチェックインすると、その場ですぐに今日からのツアーに申し込んだ。
ツアーは3〜5日間のコースがあって日数によって走るコースが変わる。
俺たちはEが日本へ出発するまでにハノイへ帰るため3日間のコースを選んだ。
ツアーは自分でバイクを運転するのが基本だが、自信のない人はベトナム人のドライバーを雇い、後ろに乗って景色を楽しむこともできる。俺はEとバイクを共有して交代で運転することにし、バイクの運転経験がないMはドライバーを雇うことにした。

ハジャンのホステル
ハジャンのホステル。ツアー用のバイクが沢山停まっている。

ツアーの参加者は俺たちを含めて10人ほど。ほとんどが北米かヨーロッパからの旅行客で、日本人の姿は見当たらなかった。
参加者が全員集まり、そろそろ出発しようというときに雨が降り始めた。
ハジャンは山岳地帯のため雨が多いのだ。
ゴミ袋のような薄いプラスチックのレインコートが配られて、みんなが着替えるなか、Eは雨が止むまで出発しないと言い出した。
他の参加者たちは先に出発してしまい、俺とMと彼のドライバーだけが残り、Eを説得しようとした。
しかし彼は全く譲らない。
雨の中を走っても楽しくないし、気温が低いから風邪を引いてしまうという。

確かに、彼の言うことはもっともだ。
本当は誰も雨の中を運転したくはないだろう。
ほとんどの日本人ならみんなが出発する雰囲気の中で、他の人を待たせるのは悪いと思い、行きたくなくても皆についていくと思う。
これが個人主義のフランスかあ、と俺は感心した。
EとMと三人で過ごしていると、フランス人とドイツ人の違いがよく目に付く。
もちろん個人差はあるだろうが、フランス人のEは自由奔放で、ドイツ人のMはより厳格というか、ルールに従順という感じがする。
例えば三人で歩いていたとき、横断歩道の信号が赤になった。
俺とMは当たり前に立ち止まるが、Eは気にせずそのまま歩いて行く。
Eはドイツ人と日本人は似ていると言っていた。
両国民ともお人好しでルールに厳格だそうだ。

俺はEはがいないとどうせ出発できないので諦めてホステルにあったビリヤードで時間を潰すことにした。
ベトナムではなぜかどこに行ってもビリヤードがある。そしてみんな上手い。
適当に転がしていると雨は止んで、出発することにした。

ハジャンの山々の景色
ハジャンの山々。日本では見ない地形。

ツアーにはホテルと3食の食事が含まれており、毎晩ガイドや他の参加者たちと宴会三昧だった。
ベトナム人のガイドたちは、よほどの酒好きか、あるいはホスピタリティからか、10分おきくらいに乾杯の音頭を取り始める。
ショットグラスに入った通称「ハッピーウォーター」を、ツアーの参加者たちに何杯も振る舞っていた。
俺は3杯も飲むともう全然ハッピーじゃなかった。

ハジャンループのルートと山の景色
ハジャンループの道

ハジャンはベトナム北部に位置していることと、山岳地帯であることもあり、天気は不安定で気温もハノイや南部と比べるとかなり低かった。
10℃前後の日が多く、雨も多かった。
朝晴れていてもどこかで必ず雨が降るので、はじめから持っている服は全部着て防寒し、その上から支給されたレインコートを着た。
それでもバイクに跨り風を受けるとかなり寒かった。

ハジャンの山とバイク

険しい山々の景色は壮大で、日本では見られないような大陸特有のスケールを感じた。
所々に売店やカフェがあり、休憩の時にそれらの場所で飲むベトナムコーヒーが冷え切った体に染み渡った。

実はベトナムはコーヒーの生産が盛んで、その生産量は世界2位だという。
ベトナムで生産されるコーヒーの特徴は苦味が強いことで、ほとんどのカフェではコンデンスミルクを入れる独特の飲み方をしていた。

抽出方法も独特で、カフェフィンと呼ばれる日本で使われている一般的なものよりもかなり小さい金属製のドリッパーを使用する。
しかしそのドリッパーのサイズが小さいのと、フィルターが粗いので粉っぽくなったり、詰まりやすくてやたらと時間がかかることが多い。
通常、最初からグラスの中にコンデンスミルクが入れられており、その上にお湯が注がれたドリッパーごと乗せて提供する。
ドリップが終わると、自分でドリッパーを外して、小さなスプーンでコーヒーとミルクを混ぜて飲むスタイルだ。
飲み慣れてからは、注文の時にあらかじめコンデンスミルクを抜くようにお願いし、運ばれてきたらドリッパーの底に沈んだコーヒー豆をスプーンでほぐして早く抽出できるようにして飲むようにした。
量が少なくて苦味も強いので、ドリップで不思議な淹れたエスプレッソみたいだ

ハジャンの谷とダム
ツアーの途中に寄った谷。ボートで奥の方まで連れて行ってくれる。

無事に事故もなく3日間のツーリングツアーを走りきったが、出発地点のホステルへ帰ってくる頃には完全に風邪を引いていた。
サパでの登山の後に休憩を入れずそのままツアーに参加したのと、毎日二日酔いで寒さの中運転していたのが原因だろう。
ハノイに戻ってから数日間はほとんど寝たきりで過ごすことになった。

ハジャンループ
よくハジャンループの広告に使われる景色。砂利が多いのでよく滑る。

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