まだ夜の帳が下りたままの午前4時半、アラームの音で目を覚ましてすぐに準備を始めた。
同じ部屋の人たちに気を遣ってかなり小音にしていたがちゃんと起きれた。
フランス人のEはサパでのトレッキングの後体調を崩してしまったため、ドイツ人のMとガイドの3人でファンシーパン山へ登ることになった。
ファンシーパン山の登山はガイドなしでは禁止されているらしく、途中で捕まると面倒なので、ホステルで事前に申し込みをした。
具体的な価格は忘れてしまったが、確か入山料も含めて50ドル近く払った気がする。
今回は日帰りだったのでよかったが、一般的には途中のキャンプで一泊するらしく、その場合は金額はさらに高くなるだろう。
実際に、まだ真っ暗な登山口に着いた時、ガイドなしで入山しようとしていたドイツ人の2人組はセキュリティに捕まっていた。
下山している時に登ってくる2人とすれ違い、彼らは割高な料金を改めて支払ってガイドを雇い入山したようだった。
ちなみに歩きたくない人は、麓からジップラインでそのまま山頂まで行けるらしい。
というかほとんどの観光客はそうしているようだった。

俺たちのガイドは地元の19歳の女の子で、既に30回ほど登ったことがあるらしく先頭に立ってぐんぐんと進んでいく。
歩き出しても1時間くらいは真っ暗な道を進むので、一応持ってきていたヘッドライトが活躍した。
小さめのサブバッグを持ってきていなかったので、55Lのバックパックに2Lの水2本と上着や軽食などを詰め込み、他の荷物はホステルに置いてきた。
バックパック自体の重量もあり、6、7kgの荷物になってしまい、後半になってその重さがかなり体に堪えた。
歩き始めて1時間半ほどで、1つ目のキャンプに到着した。
この時期は登山する人が少ないのか、キャンプの管理人を除いて、僕たち以外の登山客は誰もいなかった。
冷めきった極厚のパンケーキを朝食にもらい1枚でお腹いっぱいになると、Mが煙草を取り出した。
これから何時間も登るのに後悔するぞと忠告したが、結局2人でキャンプからの景色を見ながら一服した。

そこから5時間ほど歩いて山頂に到着した。
登山初心者の俺にはかなりきつかったが、ガイドの女の子は山頂でもケロッとしていた。
彼女はゴムの長靴を履いていて、僕はブランドのトレッキングシューズを履いているのが恥ずかしくなった。


道中は晴れていて景色も楽しめたが、山頂は霧で何も見えなかった。
山頂での景色は見えなくても十分達成感があったし、Mとそれを分かち合えた。
段々とジップラインで登ってきた人たちで混雑してきて、少し休憩してすぐにまた下山を始めた。帰りも同じくらいの時間をかけて、夕方出発地点まで帰ってきた。

帰りはまた登山口まで宿のオーナーが来てくれた。
今日はホステルに泊まらずに、このまま夜行バスに乗って東へ6時間くらいにあるハジャンへ向かう。

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